広島県「早瀬大橋」補修・耐震補強工事
離島のライフラインを守り、 健全に未来へ受け継ぐ

プロジェクト概要
本プロジェクトは、広島県の離島・倉橋島と江田島を結ぶ橋梁である早瀬大橋の大規模修繕事業です。早瀬大橋は江田島市と呉市音戸町を結んでおり、江田島と本土をつなぐ唯一の陸路として重要な役割を果たしています。
この橋はかつて「10円募金運動」が起こるなど、地域の方々の熱意に支えられ、昭和48年(1973年)に開通しました。架設後50年以上が経過し、鋼構造物の補修・補強や塗装の塗り替えなどが必要とされ、大規模な補修工事に至っています。
取材では、1工区(~令和8年10月)の工事期間中にあるプロジェクトメンバーに話を聞きました。
プロジェクトメンバー

現場代理人
西日本支社工務部
新卒採用
1993年入社
H.N

監理技術者
西日本支社技術部
新卒採用
2019年入社
Y.W

設計
西日本支社技術部
新卒採用
2013年入社
H.M

営業
広島営業所
新卒採用
1997年入社
K.A
※所属部署はインタビュー取材当時のものです。
離島の大動脈を次世代につなぐ
大型プロジェクト

はじめに、早瀬大橋の耐震・補修工事プロジェクトの概要と
受注までの背景を教えてください。
営業 (K.A)
今回の早瀬大橋は、広島県の呉市と江田島市を結ぶ唯一の陸路となっており、地域にとって非常に重要な橋梁です。架設されたのは昭和40年代ですが、住民の皆さんが「10円募金運動」を始めたことがきっかけとなり、自治体や国を動かして架設されたという思い入れの深い橋でもあります。
現在は架設後50年以上が経過しており、近年の点検調査の結果、大規模補修と耐震補強が必要であることが判明したため、計画が進められました。当社は、長大橋であるこの橋の維持修繕で技術力を十分に発揮したい。そして、地域に求められて架設された橋を健全な状態で次世代に引き継ぎたいという想いから、受注を目指すことになりました。
今回の発注工事は当社の単体ではなく、日本を代表する橋梁メーカーを含む3社JV(共同企業体)を組んで受注を目指すという形になりました。中国地区の自治体で見ても、橋梁修繕工事での3社JVは今回が初めての案件です。ONE TEAMとして協力して取組んだ結果、技術提案や入札手続きを限られた時間内に行い、無事に契約まで辿り着くことができました。
大規模プロジェクトに挑む覚悟と不安

プロジェクトメンバーはどのように選出したのですか?
営業(K.A)
このプロジェクトのメンバー選定は、技術力、実績、そしてこの特殊なプロジェクトをまとめる資質を総合的に鑑みて行いました。
まず設計担当として決まったのは、H.Mさんです。公表直後にプロジェクトへの参加意思は決まっていたため、技術提案の準備として早期から現場踏査を行ってもらい、技術部とスムーズに連携できるようにしました。
次に、監理技術者としてY.Wさんを任命しました。Y.Wさんは広島県の鋼構造物の実績があり、それが総合評価の加点対象になっていたためです。本来、監理技術者は工事部の所属者が担当することが多いのですが、技術部の了承を得てY.Wさんを任命しました。
現場代理人の選出はもっとも悩みましたが、最終的にH.N部長を任命しました。当社では、通常、工務部長が現場に出ることはないのですが、今回は20億円という大規模な工事であること、また日本を代表する2社と連携し、このプロジェクトのリーダーシップをとれる人材が必要でした。失敗が許されない状況の中、H.N部長のこれまでの実績から適任であると判断し、お願いすることになりました。
大規模な補修工事のプロジェクトメンバーとして選出されたとき、
どのように感じましたか?
現場代理人(H.N)
この規模の工事は今まで経験したことがなく、ペアを組むY.Wさんも技術部所属で工事の実績があまりないため、当初はとても不安でした。
また、JVを組むプロジェクトへの参加も初めてだったので、他社(JV構成員)との調整など、単独でする工事よりも考えるべきことが非常に多い現場になるだろうと感じました。
監理技術者(Y.W)
私は以前、工事部に所属していましたが、その後は技術部で設計に携わっていたため、現場に出るのが久しぶりでした。
工事経験と技術経験を現場に生かせたらいいなと思う反面、この規模の現場についたことがなかったので、どういう立ち回りをするべきか、考えるところから始めました。
設計(H.M)
私は受注前の技術提案から関わることになり、自分が作成した提案が工事の受注に直結するため、責任の重さを感じました。
また、大規模なトラス橋の補修・補強工事に設計として関わるのは私も初めてだったので、工事の規模感に合わせた設計対応ができるのかという不安を抱えながらスタートしました。
営業 (K.A)
私は、何年も前から早瀬大橋の補修を手がけたいと思っていたため、案件が無事に落札できた時は嬉しさでいっぱいでしたし、非常に誇らしく感じました。
補修工事ならではの課題と
現場の知恵と連携で想定外にも対応

事前の課題として、どんな点に技術的な難しさがありましたか?
また、課題に対して、どんな工夫をして提案しましたか?
設計(H.M)
受注時の技術提案として、主に2つの課題に対し、提案書を作成しました。
一つは、耐震補強工事に関するものです。今回の工事では250トン弱の補強部材を設置しますが、確実な補強効果を得るための工夫が求められました。具体的には、部材の製作精度を確保するため、現地を3次元計測すること、また、部材をボルトで取り付ける摩擦接合において、摩擦を生じさせる接合面の処理に関する工夫を提案しました。
もう一つは、橋の塩害対策です。早瀬大橋は海上に位置しており、橋が錆びやすくなる塩分が飛来する環境にあります。そのため、耐震補強だけでなく塗装の塗り替え工事も必要でした。確実に塩分を除去する方法や、塗装の品質管理をどのように行っていくかという点を考慮し、技術提案を作成しました。
工事開始後に課題や変更点はありましたか?
現場代理人(H.N)
補修工事は新設工事とは違い、既設構造物を扱うため、計画通りに進まないことや、工事の途中でトラブルが発生することがよくあります。
この現場では、設計図書(発注時の図面や数量)に齟齬があり、工事を開始する前の段階で、現場と技術部でダブルチェックを行い、施主と協議し、設計図書の整理を行う必要がありました。
工事開始後も、設計図面と現地が異なっている部分や、想定以上に橋梁の腐食が進行していることが判明し、設計の変更が必要となり、営業と連携して変更積算の算出を随時行っています。このような変更には、発注者(自治体)だけでなく設計した建設コンサルタントとも協議が伴い、難易度が高い調整が必要となります。
設計(H.M)
補修工事の場合、竣工図と現場の状態が異なることもよくあります。
今回の現場も、足場をどのように構築するかなど、足場の構造自体から見直しが必要な場面がありました。
また、足場をかけ、近接してはじめて予想以上の腐食が発見されるという想定外もありました。その際は、安全性と工期を両立するため、迅速に設計変更を検討し、新たな部材の設計と手配を急ぎました。補修工事では、現場で起きる予期せぬ事態への対応力が非常に重要だと感じました。
安全と調和に配慮した現場管理

現在も工事が進んでいますが、協力会社さんとの連携で工夫している点はありますか?
現場代理人(H.N)
本工事では、当社の安全衛生協議会に所属する協力会社に仕事を発注しています。どの会社も過去に実績があり、工事終了後の評価で高評価を得ている会社ばかりです。
この現場には、1日あたり30人近い下請の作業員さんに入っていただいており、異なる会社や様々な職種のメンバーが連携を取る必要があります。
そのため、一次下請会社だけでなく、二次、三次の下請会社に対しても同じ意識・同じ目標を持っていただけるよう、コミュニケーションを取ることを大切にしています。
監理技術者(Y.W)
私は、あいさつや現場の整頓を適切に行い、それを率先して見せることで、協力会社の皆さんにも安全や現場整理の意識を高めていただけるよう、実践しています。
現場代理人(H.N)
Y.Wさんは毎日清掃を行い、現場を綺麗に保ってくれています。
そのおかげで、これだけ大勢の人が行き来しても、通路が確保され、資材が雑然と置かれていることがないなど、不快な思いをしない現場になっていると思います。
早瀬大橋は、江田島市と呉市音戸町を結ぶライフラインとして
地域の方々の生活に深く関わる橋梁です。地域の方々とはどのように関わっていますか?
現場代理人(H.N)
早瀬大橋は、地域の方々が通勤などで活用する重要なライフラインであるため、工事着手前に両地域の自治会向けに現場説明を行いました。
補修工事をするうえで交通規制は避けられませんが、自治体との協議の結果、朝夕の通勤に配慮し、設計書で定められた8時から17時ではなく、9時から16時に短縮して作業するよう交通規制を短縮しました。これにより、現時点で渋滞に関する苦情はゼロ件です。
また、自治体と連携し、地元の学生さんを対象に現場見学会を開催するなど、公共工事の持つ意味合いや価値を伝える活動も行っています。
社会資本の長寿命化を目指す使命

現在、プロジェクトは1工区が進行しているところですが、
今後、完成に向けてポイントとなるのはどのような点だと思いますか?
設計(H.M)
完成に向けたポイントとしては、早瀬大橋を100年先を見据えた維持管理ができるようにすることです。社会資本を良好な状態で次世代に引き継ぐという当社の理念に基づき、今回の補修補強が橋の長寿命化につながるよう、腐食しにくい構造への変更などの工夫を重ねています。
現場代理人(H.N)
現場管理としては、設計の変更に柔軟に対応し、製作した部材を間違いなく現場へ取り付けること、そして事故を起こさない安全管理が重要です。
また、元請け会社として、JV構成員や下請業者とのコミュニケーションの調整や、工事の設計変更に伴う予算のやり取りをスムーズに進めていく必要があります。
大型プロジェクトの経験を次の現場へ活かす

工事はまだ途中ですが、ここまでの本プロジェクトの中で得た学びや気付きは
どのような点がありますか?それらを今後どう活かしていきたいと思いますか?
設計(H.M)
トラス橋という特殊な構造物を施工する上での技術的な知見を得ることができました。
施工性や維持管理性への配慮、制約条件への対応、製作時の工夫、管理などの経験は、今後、他の鋼橋やトラス橋のプロジェクトへも生かしていける貴重な学びとなりました。
監理技術者(Y.W)
現場で作業員さんと「施工の余裕」について話し合った経験を、今後の現場で活かしたいと考えています。
例えば、橋梁補修で部材に穴をあける作業を「孔明(こうめい)」と言いますが、設計時には工場で加工する「工場孔明」と、現場で作業する「現場孔明」のどちらが効率的なのか等を検討する必要があります。
現場での施工がスムーズに進行できるように、どの作業にどの程度の余裕が必要なのか、今回の経験を通して具体的に把握することができました。
現場代理人(H.N)
3社JVで大手建設会社さんと一緒に仕事を進める中で、役割分担の仕方や調整の進め方などに、さまざまな気づきがありました。
また、部門の垣根なく、協力し合える当社のオープンな社風の良さも改めて実感できました。
この経験を活かし、工務部の人間として「現場が何を望んでいるか」を考え、現場に対するサポート体制を整えていきたいと考えています。
挑戦できる環境と社会貢献を実感できる仕事

最後に、就職活動中の皆さんへ伝えたい、
ショーボンド建設で働く魅力などを教えてください。
監理技術者(Y.W)
ショーボンド建設は、自分の意見を伝えれば積極的に採用してくださる会社です。
私自身、工事部にいたところから技術部へ移り、また現場へ携わるなど、さまざまな経験をさせてもらっています。
また、基本的に土日休みで仕事ができ、ワークライフバランスを取りながら働ける会社だと感じています。
現場代理人(H.N)
当社は「造らない建設会社」として、今あるものを直す・復旧することに主軸を置いています。
そのため、学校では教わらない、既設構造物ならではの難しさや、学ぶことがたくさんあります。
好奇心を持って入社してくれた方には、トライできる機会が多く与えられ、自分の思うことを実現できる魅力ある会社だと感じています。
設計(H.M)
当社の仕事は、供用しながらといった中で安全かつ高品質なものを提供してインフラを長寿命化する、社会貢献を実感できる分野です。
対応力が求められる工事を通して得られる経験は成長のフィールドでもあります。
就職活動中の方は、インターンシップなどに参加して、実際に会社の雰囲気や社風を感じていただき、ご縁があれば一緒に働きたいなと思っています。
営業(K.A)
当社の仕事は、皆さんが日頃から使っている橋やトンネルなどを修繕することで当たり前の生活を守ることですから、やりがいは非常に大きいです。
次世代の人々のため、『社会資本を良好な状態で次世代に引き継ぐ』という使命感のもと、社会に貢献していることが実感できる仕事です。
興味がある方はぜひ一緒に働きましょう!
